3.1 動作環境
PacketiX VPN Server
は多くのプラットフォームおよびオペレーティングシステムをサポートしています。なお、対応オペレーティングシステムに関する仕様については
「12.1 PacketiX VPN Server 2.0 仕様」 をお読みください。
3.1.1 Windows のサポート
PacketiX VPN Server は Microsoft Windows プラットフォームをサポートしています。Windows
プラットフォームのうち、Windows NT 4.0 や Windows 2000 以降の新しい NT
カーネルベースのプラットフォームを十分サポートしていることはもちろん、レガシシステムである Windows 98 や Windows
Millennium Edition もサポートしており、場合によってはこれらの古いシステムで PacketiX VPN Server
を稼動させることも可能です。
ソフトイーサ株式会社が PacketiX VPN Server
を開発するにあたっては、プログラムの開発および基本的なデバッグと最適化作業は Windows
プラットフォーム上で行い、その後そのプログラムを他のオペレーティングシステムに移植するという作業を行っています。その結果、Windows
オペレーティングシステムの持つカーネルスケジューラおよびネットワークプロトコルスタックの性能は Linux
のそれと同等程度か、または若干上回るものであり、他の UNIX 系オペレーティングシステムと比較して遜色が無いだけではなくむしろ性能は UNIX
系オペレーティングシステムを上回ることがわかりました。さらに、Windows 版 PacketiX VPN Server
を使用すると最も制限事項の少ない状態で VPN Server を運営することができます。
また、Linux やその他の UNIX
系オペレーティングシステムはカーネルのバージョンやディストリビューションおよび様々なライブラリのシステム間の若干の違いによって、特定のソフトウェアが正常に動作したり動作しなかったりすることがありますが、Windows
オペレーティングシステムの場合はシステム内の API
およびユーザーモードライブラリの動作にある程度の一貫性が保証されているため、古いバージョンから新しいバージョンの Windows
まで、PacketiX VPN Server を安定して動作させることができます。
したがって、ソフトイーサ株式会社としては他に技術的またはコスト的な問題がない場合、PacketiX VPN Server を
Windows プラットフォーム上で使用することを推奨します。
Windows 版の PacketiX VPN Server
が対応しているシステムアーキテクチャは下記のとおりです。なお対応アーキテクチャは今後増加する可能性が高くなっています。
PacketiX VPN Server のこのマニュアル執筆時のビルドでは、Windows オペレーティングシステムの 32bit
バージョンのみをサポートしています。64bit Windows
オペレーティングシステム上でも動作させることは可能な場合がありますが、ローカルブリッジ機能が使用できない場合があります。ソフトイーサ株式会社では今後
PacketiX VPN Server を 64bit にネイティブ対応する予定です。
3.1.2 Linux のサポート
PacketiX VPN Server は Linux
プラットフォームをサポートしています。動作することが可能なカーネルのバージョンはカーネル 2.4 系以降です。
Linux プラットフォームは、Windows プラットフォームの次にソフトイーサ株式会社が推奨する動作環境です。Linux
のカーネルスケジューラやマルチスレッドライブラリの性能は以前と比較して非常に向上しており、ネットワークプロトコルスタックも Windows
と同等程度に信頼できるものになっています。したがって、Windows を VPN
サーバーとして利用することが技術的または政治的な問題によって困難な場合は、Linux システム上で PacketiX VPN Server
を使用することを推奨します。特に、Linux オペレーティングシステムは導入にあたってのソフトウェアライセンス費用が Windows
よりも安価である場合が多いというメリットが挙げられます。Linux 版の PacketiX VPN Server は Windows
版と比較してほぼ同程度の性能および機能を発揮します。
また、Linux オペレーティングシステムは Windows オペレーティングシステムと比較して、対応している CPU
の種類が多いというのが特徴の一つでもあります。そのため、PacketiX VPN Server は下記に挙げられるような多くの CPU
に対応しています。Linux は通常のコンピュータ以外の組み込み機器 (NAS やルータ、HDD レコーダなど)
にも搭載されており、それらのハードウェアでは x86 以外の組み込み機器向け CPU が採用されている場合があります。PacketiX VPN
Server をそれらのハードウェア上で動作させることも可能です。
Linux 版の PacketiX VPN Server
が対応しているシステムアーキテクチャは下記のとおりです。なお対応アーキテクチャは今後増加する可能性が高くなっています。
PacketiX VPN Server のこのマニュアル執筆時のビルドでは、Linux オペレーティングシステムの 32bit
バージョンのみをサポートしています。64bit Linux
オペレーティングシステム上でも動作させることは可能な場合がありますが、ローカルブリッジ機能が使用できない場合があります。ソフトイーサ株式会社では今後
PacketiX VPN Server を 64bit にネイティブ対応する予定です。
3.1.3 FreeBSD のサポート
PacketiX VPN Server は FreeBSD プラットフォームに対応しています。動作させることが可能なカーネルのバージョンは
FreeBSD 5.x 系以降です。
FreeBSD プラットフォームで PacketiX VPN Server
の十分な性能を引き出すことは可能ですが、ローカルブリッジ接続機能が使用できないというデメリットがあります。ローカルブリッジ機能を使用する予定がない場合は、FreeBSD
上で PacketiX VPN Server を使用することについては大半の場合問題はありません。
FreeBSD 版の PacketiX VPN Server
が対応しているシステムアーキテクチャは下記のとおりです。なお対応アーキテクチャは今後増加する可能性が高くなっています。
PacketiX VPN Server のこのマニュアル執筆時のビルドでは、FreeBSD オペレーティングシステムの 32bit
バージョンのみをサポートしています。64bit FreeBSD
オペレーティングシステム上でも動作させることが可能な場合があります。ソフトイーサ株式会社では今後 PacketiX VPN Server を
64bit にネイティブ対応する予定です。
3.1.4 Solaris のサポート
PacketiX VPN Server は Sun Microsystems Solaris
プラットフォームに対応しています。動作させることが可能なカーネルのバージョンは Solaris 7 系以降です。
Solaris プラットフォームで PacketiX VPN Server
の十分な性能を引き出すことは可能ですが、ローカルブリッジ接続機能が使用できないというデメリットがあります。ローカルブリッジ機能を使用する予定がない場合は、Solaris
上で PacketiX VPN Server を使用することについては大半の場合問題はありません。
また、Solaris は SPARC CPU
が使用されているハードウェアで動作するため、これらの特殊なハードウェアを保持している企業は、それらのハードウェア上で PacketiX VPN
Server を動作させることによって VPN サーバーとして資産を有効活用することが可能です。
なお、ソフトイーサ株式会社では検証用ハードウェア機材の不足のため、すべての CPU 種類およびバージョンの Solaris
オペレーティングシステム上での PacketiX VPN Server
の動作検証を行っていません。確実な動作を期待する場合は、できる限り新しいバージョンの Solaris
オペレーティングシステムの使用を推奨します。
Solaris 版の PacketiX VPN Server
が対応しているシステムアーキテクチャは下記のとおりです。なお対応アーキテクチャは今後増加する可能性が高くなっています。
PacketiX VPN Server のこのマニュアル執筆時のビルドでは、Solaris オペレーティングシステムの 32bit
バージョンのみをサポートしています。64bit Solaris
オペレーティングシステム上でも動作させることが可能な場合があります。ソフトイーサ株式会社では今後 PacketiX VPN Server を
64bit にネイティブ対応する予定です。
3.1.5 Mac OS X のサポート
PacketiX VPN Server は Mac OS X
プラットフォームに対応しています。動作させることが可能なカーネルのバージョンは Darwin 7.9.0 以降です。
Mac OS X プラットフォームで PacketiX VPN Server
の十分な性能を引き出すことは可能ですが、ローカルブリッジ接続機能が使用できないというデメリットがあります。ローカルブリッジ機能を使用する予定がない場合は、Mac
OS X 上で PacketiX VPN Server を使用することについては大半の場合問題はありません。また、Mac OS X
はマルチスレッドライブラリの性能が他のオペレーティングシステムと比べて劣る場合があり、PacketiX VPN Server
を負荷の高い環境で使用する場合は他のオペレーティングシステムを使用することを推奨します。
Mac OS X 版の PacketiX VPN Server
が対応しているシステムアーキテクチャは下記のとおりです。なお対応アーキテクチャは今後増加する可能性が高くなっています。
PacketiX VPN Server のこのマニュアル執筆時のビルドでは、Mac OS X オペレーティングシステムの 32bit
バージョンのみをサポートしています。64bit FreeBSD
オペレーティングシステム上でも動作させることが可能な場合があります。ソフトイーサ株式会社では今後 PacketiX VPN Server を
64bit にネイティブ対応する予定です。
3.1.6 組み込み機器のサポート
PacketiX VPN Server
は移植性および省メモリ性に優れたソフトウェアプログラムコードとして実装されています。したがって、ハードウェアのルータやレイヤ 3
スイッチ、レイヤ 2 スイッチ、無線 LAN
装置、デジタル家電製品および自動車などの小型のコンピュータを搭載しているハードウェアデバイスのうち動作要件を満たしているものに組み込むことも可能です。
今後、PacketiX VPN Server が様々な機器に組み込まれた場合、それらの機器の間では共通の PacketiX VPN
プロトコルによって相互の接続・通信が可能であることが論理的に保証され、より多くの場面でコンピュータユーザーではない一般のコンシューマが
PacketiX VPN を意識せずに使用することができるようになります。
3.1.7 制限事項
PacketiX VPN Server
では、いくつかのオペレーティングシステムにおいて発生する制限事項が存在します。これらの制限事項については本マニュアルの他の部分で記載されている場合がありますが、各オペレーティングシステムおよびハードウェアアーキテクチャに依存する技術的に回避が困難な問題が他に存在する可能性もあります。また、ソフトイーサ株式会社はすべてのオペレーティングシステムで
PacketiX VPN Server
の安定動作を保証している訳ではありません。ソフトイーサ株式会社が推奨するオペレーティングシステムおよびシステム構成については、「12.1 PacketiX VPN Server 2.0 仕様」
をお読みください。
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